保険や弁護士
交通事故でドライバーに発生する3つの責任
ドライバーが問われる刑事責任
交通事故を起こした加害者が身勝手なことを言うのはよくあるケースです。
しかし、ドライバーとしては責任は問われるのは当然であり、非常に重いケースも出てきます。
一般的な例の交通事故ってどのような責任に問われるのか考えてみる必要があるでしょう。
交差点で歩行者と接触した交通事故で相手に怪我をさせたと設定してみます。
相手を怪我させたという事実がここにありますが、そこで問われるのが自動車運転過失致傷罪です。
つまり、車を運転したことで交通事故を起こし相手を怪我させてしまったという罪に問われます。
操作の対象にもなりますし裁判によって刑罰を科せられる可能性が高いでしょう。
もちろん、怪我の内容によっても問われる罪の大きさに違いが出てきます。
どのような運転をしていたかによっても違いますが、これが刑事上の責任です。
もしも、死亡事故のような状況であったとすれば、実刑判決がつくことが考えられます。
交通刑務所へ行くことが考えられる状況です。
さらに飲酒運転であればもっと厳しい判決が待っています。
被害者の損害賠償
歩行者が怪我をした事実から、治療を受けることも考えられるでしょう。
入院するケースも出てきます。
入院すれば当然仕事には行けなくなり、そのぶん会社を休まなければいけません。
当然収入が減少することになり損害賠償の請求が発生します。
歩行者側に問題があったケースも考えられます。
本来は歩道を歩いていなければいけませんが、車道や横断歩道外を利用していた場合には歩行者側にも責任が出てくるのです。
この場合には責任の相殺をします。
過失相殺と呼ばれますが、お互いの過失を相殺し損害賠償金を減額するのです。
損害賠償の責任は非常に重くのしかかるため、保険に加入することが必須といえます。
交通事故では、自分の経済能力では支払えない請求が降って湧いてくる可能性が高いのです。
運転免許の点数
交通事故を起こすと運転免許の点数が引かれます。
事故の内容や状況、その後の行動などで判断され、免許停止か取消しの処分もあるのはドライバーなら知っているでしょう。
しばらく運転できないだけではなく、免許の再取得にも制限がかかります。
講習を受けることで期間を短縮したりもできますが、これは行政上の責任として問われている部分です。
これらの責任を見て分かる通り、それぞれが問われている内容に違いがあります。
ハンドルを握るドライバーはこれらの責任を持って運転していなければいけないのです。
ただし、交通事故の内容によっては、民事的な責任は問われても刑事的責任は問われないケースもあります。
手続きはそれぞれが別になるため起こるケースですが、ドライバーは責任を持って運転しなければいけません。
交通事故の後に行われる示談交渉って何だろう?
交通事故の後に行われる示談交渉
交通事故では、示談交渉というキーワードが出てきます。
そもそも交通事故は、大きなトラブルなのです。
そこで、加害者側が被害者側に対して交渉を求め、裁判以外の場で決着をつけようとします。
これが示談交渉ですが、損害賠償金額に対する話し合いとなるのが一般的です。
つまり、何か決められた基準で話あったりするのではなく、お互いが納得いく形を探っていこうという形になります。
ただし、どちらも交渉のプロというわけではない可能性が高いでしょう。
どんな交渉にしていいのかもわからないはずです。
そこで、示談交渉では、保険会社同士で話し合いをしたり、弁護士を入れたりするのです。
一般的には、被害者側が弁護士で、加害者側は支払いを担当する保険会社となる図式になります。
示談交渉と過失割合
示談交渉では、どのような示談金をいくら支払うのかを決めていきます。
その際に、どちらにどれぐらいの責任があるのか、過失割合もはっきりさせなければいけません。
交通事故の多くは、どちらも加害者であり、何らかの責任があったと判断します。
これを過失割合と呼ぶのです。
例えば、止まっている車に後方から追突した場合、被害者はどうにもできません。
何もしていない状況の中で追突されたわけですから、過失割合は100:0になります。
しかし、交差点の事故だった場合、どちらの運転手にも回避できる可能性があったりするでしょう。
動いてしまったことで事故になるケースもあるのです。
そのため、100:0になることはほぼありません。
さらに示談の条件に関しての話し合いもしながら、まとめていきます。
こうなると、素人では難しいことなのがわかるでしょう。
算定基準には差がある
示談交渉で重要なのは、どれぐらいの相場になるかです。
保険会社があいだに入ることになれば、要注意しなければいけません。
保険会社は営利企業であり、保険金を支払いはしますが、できるだけ損失は小さくしなければいけないのです。
この状況の中で、被害者に申し訳ないと思っても、多く支払いたくありません。
当然の行動です。
弁護士は、依頼者に利益をもたらすのが仕事ですので、少しでも多くなるように交渉します。
問題は、何を基準にして話し合いをするのかですが、保険会社は独自に基準を設けています。
これが算定基準です。
保険会社の算定基準は、自社に利益を出すための基準なのを忘れてはいけません。
弁護士は裁判になったときの金額を基準にします。
この差はとても大きく、3倍以上になるケースもあるのです。
そのため、示談交渉では弁護士に依頼して進めるのが基本です。
自分で交渉してしまうと、保険会社のペースに乗せられてしまうため、注意しておきましょう。
交通事故の治療費の支払い方は?
治療費の扱い
不運にも交通事故に遭ってしまった場合、治療費をどうしたらいいのか迷ってしまいます。
自分は事故に遭ってしまった被害者であり、過失がなかったとしたら、余計に誰が治療費を持つのか考えなければいけません。
怪我の治療費の基本は、加害者が負担します。
加害者が存在しなければ、そもそも被害を受けることはありませんでした。
つまり、加害者に責任があることになります。
治療と並行して加害者が病院に支払うのが基本とはなりますが、そうはいかないケースもあるでしょう。
大急ぎで施術を受けなければいけないのに、加害者の反応を待っていることなどできないからです。
そこで、一旦被害者が治療費を支払うケースが出てきます。
この場合には、立て替えといった状態であり、後日加害者側に請求することになるのです。
保険組合に連絡
加害者側が任意保険に加入していたと仮定します。
中には入っていない人もいるのが任意保険ですので、この方法は前提条件があるのです。
この場合には、任意一括対応と呼ばれる方法を取ります。
加害者がすべて対応するといったケースですが、手続きが間に合わない場合や保険会社が拒否した場合などは自分で建て替えなければいけません。
この場合に健康保険を使うことができます。
立て替えのケースでも問題はありません。
この場合、健康保険を使いたいことを伝え、保険組合に提出することになります。
第三者行為による疾病届や事故発生状況報告書。交通事故証明書が必要です。
本人確認書として健康保険を使うのではないため、はっきりと説明する必要があります。
これは電話でも伝えることができるため、コンタクトを取った時点で状況の説明をしなければいけないのです。
注意しなければいけないポイント
注意しなければいけない点もいくつかあります。
請求するためには、ある一定以上の通院が必要です。
それも事故との因果関係が説明できなければいけないため、交通事故に遭ったらすぐに通院を始めましょう。
仮に痛くなくても、あとから怪我がわかるケースもあります。
しかし、時間とともに事故との因果関係が説明しにくくなるため、事故直後から通う必要があるのです。
もうひとつは、接骨院ではなく、整骨院などに通う場合です。
整骨院は病院ではありません。
もちろん、交通事故の対応もできないため、支払いの対象外になるケースもあるのです。
接骨院は交通事故の対応をしているところが大半を占めるため、はっきりと状況の説明をして施術を進めてもらいましょう
分からないことがあれば、どんどん質問するのも大切です。
交通事故の慰謝料の算定基準とは
交通事故に遭い精神的な苦痛を受けた場合、慰謝料の請求が行われます。
しかし、自分の被害がいったいいくらになるのか、すぐに分かる人はいません。
自分の主観だけで決められるものではなく、これまでの例も含めいったいどれぐらいの被害額に想定するのか、そこがはっきりとしなければ補償ができないからです。
算定基準は3つ存在します。
なぜ3つも存在するのか、その意味も考えてみる必要があります。
この3つには流れが存在し、それぞれ意味があるからです。
慰謝料はやみくもに決められるものではありません。
あとから後悔しないためにも、しっかりと抑えなければいけないのです。
自賠責基準
車を運転する人なら誰でも自賠責保険の存在は知らなければいけません。
交通事故が起きた時に最低限補償するための仕組みで、被害者の肉体に対し補償される手段です。
闇雲に使われるものではなく、あくまでも最低限の補償で使われる救済措置であるともいえるでしょう。
ここで一体いくら支払うべきか基準が存在しています。
基準と言っても最低限のものです。
どんな状況があったとしてもこの範囲までは、最低対応しなければいけない基準になります。
そのため自賠責基準は、慰謝料の算定基準として最も低い数値です。
これ以上ないぐらい低い数値ではありますが、セーフティーネットとして絶対必要な値となります。
任意保険基準
任意保険がかけられている場合、保険会社が慰謝料の支払いをしなければいけなくなります。
もちろん上限もありますが、保険会社は民営の企業であり、利益を上げなければいけない宿命を持っています。
利益を上げなければ経営できないからです。
保険に加入してもらっている人に対し、商品として補償しますが、過剰に支払いたくはありません。
当たり前のことですが、自社の利益を損なうからです。
そこで出される基準としては、自賠責基準を少し上乗せしたような程度に収まります。
必要最低限ではないですが、補償としてしっかりとした金額かと言えばそうでもありません。
思っているよりも低い金額が出てくるのは、任意保険会社が自社の利益を守るためです。
あくまでも被害者が必要とする補償額ではないことを理解しなければいけないのです。
弁護士基準
被害者として本当に必要となる補償はいくらか、保険会社には関係のある話ではありません。
強い言い方になるかもしれませんが、あくまでも利益を上げるための企業だからです。
そこで裁判にかけて、本当に必要な補償を争うケースが出てきます。
ここで挙げられるのが弁護士基準です。
弁護士基準は、裁判での判決を元にしています。
裁判になれば、これほどの金額がかかることを提示しているのです。
もちろん、裁判になれば費用が別にかかりますし、時間も必要です。
被害者だけではなく、加害者の時間も多く必要となります。
弁護士基準の場合、任意保険基準に対し2倍から3倍の設定が一般的です。
それほど被害者は補償を必要としているからです。
その現実を受けて提示する金額となるため、納得できるケースに近づきます。
自分で示談交渉をしていると、出てくるのは任意保険基準です。
弁護士基準で話を進めたりはしません。
だからこそ納得いく金額に近づかなかったりするのです。
この事実を覚えておくだけでも交渉として違いが出てくるため、もしもの時のためにも理解が必要と言えるでしょう。
弁護士の必要性
交通事故に必要な弁護士
交通事故に関し、弁護士を依頼するのは、慰謝料の請求なので非常に有効な手段となってきます。
示談交渉をする上で自分だけで進めると、なかなかうまくいきません。
相手の保険会社は、できるだけ支払いたくない条件のもと行動してきますし、こちらは出来る限り高額な補償をして欲しいと思うはずです。
本来は被害者と加害者の関係で、被害を受けた者が、その被害を取り返せなければいけません。
交通事故にあわなければ、本来被害を受けなかったからです。
しかし、保険会社は、一般的な会社経営と同じで、利益を必要とします。
支払い過ぎてしまえば、そのぶん赤字になる可能性が出てくるのです。
だからこそ、自分だけで示談交渉をすると、保険会社が持つ基準で話を進められ、思っているような賠償を受けられません。
弁護士を依頼するのは、スムーズに話を進める意味もありますが、保険会社主導で被害者の救済が薄くならないようにするためです。
逆に加害者から見れば、必要以上の請求に対し、断れるかどうかがかかっています。
被害者が、本来必要がない賠償まで請求するケースは少なくありません。
このような状況に対しても、加害者として断るのは簡単ではないからです。
加害者としての意識もありますし、社会的な責任を問われるケースも出てきます。
そんな時でも弁護士を立てて話ができれば、状況は大きく改善するのです。
弁護士の持つ算定基準
弁護士が入ることで、請求が変わるのには理由があります。
弁護士には弁護士独自の基準が存在し、保険会社の算定基準とは明らかに違うからです。
これは、弁護士基準とも呼ばれますが、これまでの裁判の判例を基準としており、大きい時には保険会社の算定基準の3倍になる可能性が出てきます。
裁判で争った場合には、それほど大きな差がつくのです。
これをデータとして算定基準に置き換え、保険会社と争います。
加害者の場合でも、必要以上に賠償を求められないのも、裁判の判例から引き出すからです。
これができるのが、弁護士の強みといえるでしょう。
弁護士は交渉の専門家
弁護士が入ることで、物事がスムーズにいくのにも理由があります。
保険会社が弁護士では相手にしにくいと思うと、早期に決着をつけたくなるのがひとつです。
弁護士は法律の専門家であると同時に、交渉の専門家にもなります。
裁判が主戦場に見えますが、実際には当事者同士の交渉で代理人として活動するケースが大半です。
それでも決着がつかないときに、裁判に持ち込みます。
つまり、交渉の専門家であり、常にどのような対応をしたらいいのかを考えているのが弁護士です。
何も知らずに交渉に臨まなければいけない当事者に比べ、専門領域での話ができるのです。
これは保険会社としたら、避けなければいけない相手となるでしょう。
弁護士が裁判の時に、代理人として活動できるのも大きなポイントです。
保険会社とすれば、裁判になるだけでも費用の持ち出しが生じます。
時間がかかれば、それだけ損失も増えるかもしれません。
こちらも弁護士の費用が発生するのなら、どこか落としどころを見つけて決着をつけようかと考えます。
これが早期決着につながるポイントになるため、交通事故では弁護士を利用するのが大事なのです。